特定公益信託で財務大臣の指定するものから交付される特定の金品の非課税規定(相法21の3①四)

特定公益信託で財務大臣の指定するものから交付される特定の金品の非課税規定

図表Ⅰ-15 公益信託に係る税務

概要公益信託特定公益信託認定特定公益信託
公益信託は、信託法上受益者のいない信託であるが、相続税法は附則24を置き、すべての公益信託の委託者を特定委託者としてみなすこととし、法人課税信託である受益者等の存しない信託に該当しないものとしている。これは、今後の公益信託制度の見直し等を見据え、当面の措置として従前の取り扱いが維持されたものである。公益信託法1条+引受許可審査基準
*引受認可基準には残余財産の帰属についての制限は明記されていないが、現実に許可される公益信託は、残余財産が委託者等の手元に戻る可能性があるものはない。公益信託として主務官庁から許可されるものは、すべて税法が定める特定公益信託の要件を具備している。
所令217の2①② 所令217の2③
法令77の4①② 法令77の4③
信託財産の帰属の定め・解除不可・受託財産は金銭のみ。運用限定。信託管理人+学識者の助言。信託報酬も制限。目的の限定(助成型活動)。業績が持続可能。主務大臣の認定を要求。
財産拠出時





委託者への税制優遇(所得税法上の寄付金控除・税額控除)なしなしあり(所法78③(信託時の拠出も対象))
相続・遺贈を受けた財産を公益信託に拠出した場合なしなし(所令217の2①三により、金銭以外の財産受け入れは不可)
受託者・受給者(≠受益者)等への課税なし。公益信託の委託者は特定委託者とみなされるため、公益信託は受益者等の存在しない信託に該当せず、他に植木社が存しなければ、信託財産の移転は認識されず受託者や受給者(受益者ではない)には課税されない。





委託者への税制優遇(法人税法上の寄付金優遇税制)なし。一般寄付金として損金算入限度額の範囲で損金算入することができる。あり。特定公益増進法人に対する寄付金と同じ扱いを受けることができ、一般寄付金の損金算入限度額とは別枠で一般寄付金の損金算入と同額まで損金算入が認められる(法法37⑤③三)。
信託収益時





投資所得非課税(所法11②)
利子(源泉所得税)
キャピタルゲイン課税非課税(所法11②)所令217の2四により運用可能資産が限定されているので、キャピタルゲイン課税の問題は生じない(所基通33-1、祖法37の15)。





投資所得課税(法法附則19の2=委託者課税)非課税(法法12①②)
利子(源泉所得税)非課税(所法11②)
キャピタルゲイン課税課税(法法附則19の2=委託者課税)法令77の4①四で運用可能資産が限定されているので、キャピタルゲイン課税の問題は生じない。
公益目的給付時(奨学金等、受給者に特定しうる経済的利益が生じている場合には委託者からの贈与とみなされる。)





受給者個人贈与税課税(相法9)学術貢献の表彰、学術研究の奨励、学生等への学費支給の金品に限り非課税(相法21の3①四)。





所得税課税(一時所得時)学術・芸術に関する貢献の表彰、学術研究の奨励、学生への学費支給の金品に限り非課税(所法9①十三、十四)。
受益者が法人の場合原則として益金算入。受益者が公益法人の場合は非課税(法法7)。
委託者死亡時
公益信託の委託者は、相続税法上、特定委託者とみなされ、信託財産は被相続人である委託者の相続財産を構成する。委託者の相続人に相続税課税(相法附則24、相法9の2⑤)信託財産は委託者を被相続人とする相続財産に含まれるが、相続税価額は零とされる(相基通9-2-6)。

(参考文献:藤谷武史「公益信託と税制」第37回信託法学会総会(2012年6月10日)報告書記載の表の一部を基に一部変更して作成)