申告書作成の準備

相続税の申告と納付は、自己のために相続が開始したことを知った日の翌日から10ケ月経過した日です(1月1日に相続が開始したことを知った場合は10月1日が法定申告及び納付期限)。

相続税の納税額を確定させるためには、次の点が重要です。

  1. 遺産総額及び債務の全貌を把握すること
  2. 非課税財産の規定を正しく使うこと(死亡保険金、死亡退職金)
  3. 配偶者の税額控除と小規模宅地等の課税価格の特例を意識して遺産分割協議を行うこと
  4. 税額控除を漏れなく適用すること

遺産の総額と債務の全貌を把握すること

遺言があれば、遺産の総額を確認することは比較的容易ですが、取引金融機関や證券会社を知らせずに亡くなった場合、遺産の総額を把握することは結構大変です。

確認手順

  1. 自宅にある証憑からの確認
    1. 被相続人宛ての金融機関からの通知(月次報告書など)から取引のある銀行/支店、信託銀行/支店、証券会社/支店を確認します。
    2. 上場会社からの株主総会通知書、配当金支払通知書などから所有している上場株式を把握します。
    3. 被相続人の普通預金の通帳があれば、過去の入出金を確認します。
    4. 被相続人の手帳、携帯、電話帳から取引金融機関を確認します。
    5. 保険証書があれば、保険会社に連絡し死亡保険金の請求手続きを開始します。
  2. 戸籍謄本の取り寄せ
    • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等と相続人全員の現在の戸籍謄本を取り寄せます。
    • 相続登記が必要な不動産があれば、戸籍謄本の収集を司法書士に依頼するのも一つの方法です。
    • 相続登記には上の戸籍謄本等がすべて必要ですから、司法書士に一連の戸籍謄本等と金融機関の数だけの「法定相続情報証明」の収集を依頼すれば、相続人の負担は減少します。
    • ご依頼をいただければ、日本税務総研から能力の高い司法書士をご紹介します。
  1. 評価額証明書(残高証明書)の取得
    • 取引金融機関に連絡し、被相続人の相続開始日現在の預貯金、保護預かり株式等の評価額証明書(残高証明書)及び相続手続きに必要な書類を確認します。
  2. 過去の所得税申告書(控)の確認
    • 過去の所得税申告書(控)を確認し、年初から亡くなる日までの期間に申告が必要な収入があれば、準確定申告の準備を行います。
    • 準確定申告の作成は、相続を依頼する税理士が受けることも多いので、同時に相続税の申告を依頼する事務所を決定してください。
  3. 被相続人から過去に受けていた贈与と贈与税の申告の有無の確認
    • 各相続人が被相続人から受けていた贈与の有無及び金額、申告の有無を確認します。
    • 特に、相続時精算課税制度を適用した贈与がある場合には注意が必要です。
  4. 借入金等の把握
    • 被相続人が保管していた消費貸借契約書等や預貯金の引落から借入金の有無を確認します。
  5. 賃貸物件の確認
  • 賃貸アパートやマンションがある場合、個々の借家人のとの賃貸借契約書を確認します。

相続税の申告期限までに行う公益法人等への贈与

相続税申告期限までに公益法人等へ贈与

相続又は遺贈により財産を取得した人が、取得した財産を法定申告期限までに国または地方公共団体に贈与すると、贈与した財産は相続税の非課税財産になります。これと同様に次の特定の公益法人等に贈与した場合、公益法人等が贈与を受けた財産を2年以内に公益を目的とする事業の用に供すると非課税財産になります。

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未成年者の税額控除

未成年者の税額控除

未成年の相続人が次のすべてに該当する場合、相続税の税額控除を受けることができます。相続または遺贈により財産を取得したときに、20歳未満である、被相続人の法定相続人である、日本国内に住所がある、又は日本国内に住所がなくても、日本国籍を有しているかその者又は被相続人が相続開始前5年以内に日本国内に住所を有したことがある。

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配偶者控除による節税

配偶者控除による節税

相続税の世界では、配偶者が取得することが確定した遺産については、法定相続分または1億6千万円までは税額控除を受けることができます。何らかの理由で、申告時までに分割できない場合には、配偶者の税額軽減を受けることはできません。

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障害者控除

障害者控除

相続人が85歳未満の障害者のときは、相続税の額から一定の金額を差し引きます。日本国内に住所がある、財産を取得したときに障害者である、法定相続人である、の三つが条件です。障害者控除額が障害者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引ききれないときは、障害者の扶養義務者の相続税額から差し引くことができます。

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