相続税の申告書を自分で書ける?

相続税を税理士に依頼せず自分で申告することは可能?

相続人が自らの相続に関し、相続税の申告書を自分で作成し、税務署に提出することは、ある一定量の税法や評価の方法を勉強していただければ可能です。

申告書の作成において大切なことは、関係法令を正確に理解し適用すること及び相続財産の確定や評価を適正に行うことです。法令の適用誤りや財産の計上漏れ、評価誤りがあると税額に大きな相違が生じる可能性があります。

税金の申告は、誤って少なく計算したとしても(わざとではなくても)過少申告加算税が課税されます(本来納めるべき税額の10%~15%)。意図的に税金を少なく計算した場合(仮装隠ぺい)には、重加算税が課税されます(35%~40%)。

さらに、申告書の作成上重要なことは、相続税の調査があっても修正申告を行う必要がない堅実な申告書を作成することです。自分のことにはどうしても判断が甘くなりがちです。有資格者である税理士でも相続税の申告業務に熟練していなければ、調査に耐えうる適正な申告書を作成することは、必ずしも容易なことではありません。

次のような誤りをおかさないよう注意が必要です

評価の誤り

  • 不動産の評価を自分の思い込みで過少に評価
  • 同族法人の株式評価をする際、簿外の借地権を計算に入れるのを忘れていた
  • 同族法人の株式評価をする際、他に中心的な同族株主がいるので取得割合を5%未満にすると配当還元方式が使えるのに気が付かず、5%以上になるよう分割協議を行って申告していた
  • 相当地代通達を無視して同族会社に賃貸していた土地と同社の株式の評価を行っていた
  • 財産評価を過大に申告した
  • 法人が同族関係者となるのは、議決権の総数の50%超に該当する場合なのに、30%で判断していた

申告の誤り

  • 無収入の家族の名義預金や株式が、被相続人の預金や株式よりも多く、だれがみても不自然なのに、家族名義預金の内容を検討せず、被相続人の財産と考えられるものまで全く申告しなかった
  • 数年前に、息子の家のローンを被相続人が肩代わりして返済していたのに気がつかなかった
  • 無記名の割引債を多額に相続したのに意図的に申告しなかった
  • 寝たきりになっていた叔父が所有していた無記名の割引債を換金し、多額の現金を隠蔽していた
  • 郵便局の貯金は調査を受けないという噂に惑わされ、申告しなかった

ご自分で相続税の申告書を作成する場合、税金を少なく計算しても法令の規定に適合していなければ後日、調査を受け、余計な税金を負担することになる可能性があります。

▮ 相続税の申告のポイントと調査のポイント

相続税の申告のポイントは、次のとおりです

  1. 漏れなく資産を計上しているか
  2. 法令の適用に誤りがないか
  3. 評価に誤りがないか

調査のポイントは次のとおりです。

  1. だれが遺産を管理していたか
  2. 申告漏れの財産はないか
  3. 法令の適用に誤りがないか
    例:兄弟姉妹の相続税は二割加算になるのに気が付かなかった
  4. 評価に誤りがないか

実は、相続税の申告のポイントと調査のポイントは、ほぼ同一なのです。

優秀な調査官は「誰が遺産を管理していたか」を最初に把握しようとします。

10年前から遺産は長男が管理していたのなら、被相続人の財産の動きは長男がすべて知っているのです。亡くなる直前まで被相続人が管理していたのなら、相続人は、全力を尽くして遺産の総額を把握しようとするでしょう。

税理士法人日本税務総研は、相続税の調査に精通した税理士がみなさまの申告をサポートします。

ぜひ、ベテランの税理士のヒヤリング能力をお試しください。