財産は法律的には、不動産・動産・債権・無体財産に分けられます。
不動産は土地及びその定着物をいいます。土地と建物は別の不動産として認識されます。
無体財産は、著作権などの知的財産権を意味します。無体財産については民法には規定がなく、著作権法などに定められ特別な財産権としての扱いを受けます。
債権は他者に一定の行為を請求する権利であり、民法に詳細な規定があります。
そして、動産はそれ以外のすべての有体物を指して意味する言葉です。身の回りにある家財などで手に触れることができるものはすべて動産です。
この動産を、財産評価基本通達は一般動産、棚卸商品等、牛馬等、書画骨とう品及び船舶に区分して評価方法を定めています。
なお、法律的には債権などに該当しそうですが株式も動産として分類されます。しかしながら、財産評価基本通達では、特別なカテゴリーに分類されるものとして別途規定を設けています。
事業を営む者が所有し事業の用に使用する機械及び装置、器具、工具、備品、車両運搬具や一般家庭用の家具、什器、衣服、非事業用の車両運搬具等がその代表的なものとなります。
また、一般動産の価額は、原則として1個又は1組ごとに評価することとされていますが、家庭用動産、農耕用動産、旅館用動産等などは、1個又は1組の価額が5万円以下のものに限り、一括して、1世帯、1農家、1旅館ごとに評価することが認められます。
一般動産の評価方法は、原則的には売買実例価額、精通者意見価格等を参酌することとなっています。ただし、これにより評価することが困難な場合には、原価法(減価償却方法は定率法)により評価します。
調達価格が不明の場合には、再調達価格から経過年数による償却費合計額又は減価の額を控除して算出します。この場合の償却方法は定率法によります。
動産であっても、仏壇仏具や神具、その他の祭祀財産については課税されません。これらは国民感情上、課税することがなじまないと判断されるためです。
また、歴史的価値のある美術品などで相続税の申告期限まで(被相続人の死亡の翌日から起算して10ヶ月以内)に国や地方公共団体・特定の公益法人に寄付を済ませた財産も課税されない場合もあります。
このように、動産は一括して評価されたり、目的物の性質によって課税されなかったり、寄付により課税を免れるなど不動産とは異なり様々な特殊な扱いがされることとなります。