不整形地の地区区分
不整形地の場合、地区区分と正面路線価の判定は?
不整形地の場合、地区区分の判定に必要な奥行価格補正には、4つの手法をよく理解しておく必要があります。
不整形地の地区区分を判定する場合、最も高い路線価の付されている路線の地区区分を適用します。ただし、最も高い路線とは奥行価格補正率を適用した後の路線価のことですので、不整形地の場合の奥行価格補正後の路線価の算出方法について、ここで説明することにします。
不整形地の場合の奥行価格補正率
(1)区分した整形地を基として評価する方法
(計算例)
- 甲土地
100,000円(正面路線価)×0.97(奥行距離25mに対応する奥行価格補正率)×75㎡(甲土地の面積)=7,275,000円 - 乙土地
100,000円(正面路線価)×0.97(奥行距離9mに対応する奥行価格補正率)×27㎡(乙土地の面積)=2,619,000円 - 丙土地
100,000円(正面路線価)×1.00(奥行距離20mに対応する奥行価格補正率)×60㎡(丙土地の面積)=6,000,000円 - (甲土地+乙土地+丙土地)の価額
7,275,000円+2,619,000円+6,000,000円=15,894,000円 - 奥行価格補正後の価格
15,894,000円÷(75㎡+27㎡+60㎡)=98,111円
(2)計算上の奥行距離を基として評価する方法
(計算例)
300㎡(評価対象地の地積)÷20m(評価対象地の間口)=15m≦想定整形地の奥行距離
計算上の奥行距離が想定整形地の奥行距離を超える場合には、その計算上の奥行距離に止めます。
100,000円(正面路線価)×1.0(奥行距離15mに対応する奥行価格補正率)=100,000円
(3)近似整形地を基として評価する方法
(計算例)
100,000円×0.97(奥行距離27mに対応する奥行価格補正率)=97,000円
この場合の奥行距離も、想定整形地(破線で囲んだ部分)の奥行距離を限度とし、近似整形地(実線で囲んだ部分)で奥行きを計算します。
(注1)想定整形地とは、不整形地の全域を含む、正面路線価に面する矩形または正方形の土地をいい、それが複数ある場合には、最も面積が小さいものとします。
(注2)近似整形地とは、近似整形地からはみ出す不整形地の部分の地積と近似整形地に含まれる不整形地以外の部分の面積が概ね等しく、かつ、その合計地積ができるだけ小さくなるように求めたその整形地をいいます。
(4)差引計算により評価する方法
不整形地の場合には、その不整形地に係る想定整形地の奥行距離を限度として、不整形地の面積を間口距離で除して得た数値に基づき奥行価格補正率を求めます。【図11】の甲のような事例でこれを適用すると、想定整形地の奥行距離と同じでありながら奥行距離が長い部分がより多く占めているのですから、何らかの奥行補正が必要となります。そこで、甲と乙の合計価額から乙の評価額を控除し、さらに甲の面積で除した額を、甲の奥行価格補正後の価額とします。
(計算例)
- 想定整形地(この場合、甲土地と乙土地を合わせたもの)の評価額
100,000円×0.95(奥行距離30mに対応する奥行価格補正率)=95,000円
95,000円×900㎡(甲乙土地の合計面積)=85,500,000円 - 乙土地の評価額
100,000円×1.0(奥行距離20mに対応する奥行価格補正率)=100,000円
100,000円×300㎡(乙土地の面積)=30,000,000円 - 甲の奥行価格補正後の価額
[85,500,000円(甲土地と乙土地を合わせた土地の評価額)-30,000,000円(乙土地の評価額)]÷(900㎡-300㎡)=92,500円
上図のように、評価対象土地甲が不整形地の土地の場合にも、同様の計算をします。
甲土地の奥行価格補正後の価額=(甲土地と乙土地を合わせた土地の評価額-乙土地の近似整形地の評価額)÷甲土地の面積
(1)~(4)の方法の中で、その問いに最も適した合理的な方法を採用することになります。